
会計ソフトを導入すると、入力作業が楽になると言われています。クラウド会計ソフトには、銀行口座などとの連携機能や仕訳(経理データのこと)の自動生成などがあります。これらの機能を使えば、会計ソフトに直接入力するよりも楽に処理できます。私もさまざまな会計ソフトで入力し、便利だと言われる機能を試してきましたが、最終的には連携機能や仕訳の自動生成機能は使わない形に落ち着きました。会計ソフトがあると便利だと感じる人もいれば、そうでない人もいます。今回は会計ソフトでの入力について、メリット・デメリットやおすすめの入力方法をお話しします。
会計ソフトの種類別の特徴と使いやすさ
これまでに、さまざまな会計ソフトを使ってきました。使ったことのある会計ソフトは以下になります。
- 財務応援
- マネーフォワード
- SC会計
- 弥生会計
- freee
インストール型の会計ソフトは、連携機能や仕訳自動生成機能がないものが多いですが、クラウド型に比べて動作が軽く、修正や手入力がしやすい傾向にあります。
クラウド型の会計ソフトは、連携機能や仕訳自動生成機能があるため、一から入力することは少ないですが、インストール型に比べて動作が重いため、直接入力には不向きです。
支払方法を工夫すれば、会計ソフトの連携機能を活用して、経理データをほぼ自動で生成することも可能です。もちろん、生成されたデータを確認する必要はありますが、直接入力するよりもずっと楽になることでしょう。
では、なぜ私が連携機能などを使用していないのか?その理由を説明します。
1つは、機能の不確実性です。連携機能と仕訳の自動生成機能はセットで働きます。仕訳の自動生成機能で作成される経理データは、過去に入力された経理データをもとにして、予測され作られています。あくまで予測であり、必ずしも正確であるとは限りません。そのため、経理データに誤りがないかを確認する必要があります。連携機能がある会計ソフトはクラウド型が主流であるため、確認するだけでも動作が重く、効率が下がります。
もう1つは、連携機能は修正することを前提としていないため、使いにくい面があります。連携機能は、経理データに間違いがないことを確認してから登録する流れになっています。そのため、登録後の経理データは正しいことが前提で扱われる傾向にあります。この影響で、連携された経理データは直接修正がしにくく、修正するために別の経理データを作成することが多いです。その結果、経理データの意味がわからなくなり、どれが正しくてどれが間違っているのか判断が難しくなります。
連携機能は必ずしも正確ではありません。たとえ登録前に確認していたとしても、誰でも思い違いや知識不足、操作ミスなどで間違えることがあります。だからこそ、修正しやすい仕組みで処理できることこそが、私にとっては効率的だと感じています。
エクセルでの経理データの入力の魅力と注意点
私は連携機能を使わず、エクセルで経理データを作成しています。作成した経理データは会計ソフトにインポート(データの取り込み)しています。
エクセルを使って経理データを作成するメリットは以下のとおりです。
- エクセルを使ったことがある人が多い
- ショートカットキーが多く、作業効率が上がる
- 必要な項目のみを入力できる
- 入力したデータを他の用途にも活用できる
- 他の資料のデータを取り込んで活用できる
エクセルを使って経理データを作成するデメリットは以下のとおりです。
- 入力した内容を会計ソフトに取り込める形式に整えるのに、最初は手間がかかる
- 入力の自由度が高いため、何をどう作ればよいか迷いやすい
- 関数の設定には慣れが必要
エクセルで入力したデータは、会計ソフトに取り込むことができる形式に整える必要があります。その方法を理解し実際に整えるまで、最初は時間がかかります。データ形式の整え方には、手作業でコピーして作成する方法もあれば、関数やVBA(エクセルで使用するプログラミングのこと)を使って変換する方法もあります。いずれにしても、経理データの内容をしっかりと理解していることが前提となります。
この作業がエクセル入力の難しいところですが、ここを乗り越えると入力の手間が一気に減ります。例えば、会計ソフトよりも入力項目を絞ったり、請求書の作成に入力したデータを活用したりと、さまざまな効率化につながります。
最初は難しく感じるかもしれませんが、その先には十分な効果があるので、挑戦する価値はあります。「入力用のエクセルを作りたいけど難しそう…」という方は、当社でも資料作成のサポートや資料の代理作成を行っています。興味があれば、ぜひご利用ください。
習熟度に合わせたおすすめの入力方法
経理を始めたばかりの頃は、経理データの入力に慣れていないため、入力に時間がかかったり、入力ミスが多かったりすることがあります。そういった場合は、連携機能を使い、会計ソフトに経理データを自動作成してもらうのがおすすめです。毎月同じ内容の経費には、仕訳テンプレート機能(あらかじめ登録しておいた経理データのひな型のこと)を使うことで入力ミスを減らすことができます。なるべく会計ソフトの機能を活用する方法で入力を行っていき、少しずつ会計ソフトの仕組みを理解していきます。
経理データの入力に慣れてきたら、エクセルでの入力に切り替えるとよいでしょう。売上やシンプルな経費は、エクセルで入力するのがおすすめです。銀行口座など会計ソフトと連携できる取引は連携機能を使います。会計ソフトによっては連携機能が備わっていない場合もあります。そのようなときは、預金の入出金データをCSV形式(表形式のデータファイルのこと)でダウンロードし、それをもとに経理データを作成すると良いでしょう。少し複雑な経理データは仕訳テンプレート機能を使うというのは一緒です。
エクセルでの入力を始める場合は、エクセルの関数や経理データの仕組みなどを学びながら、入力用のエクセルを作成することになります。会計ソフト自体にも慣れていないため、経理を始めたばかりの頃は負担が大きいです。私はXLOOKUP関数やIF関数などを使って、入力用のエクセルを作成しています。エクセルの関数にある程度慣れている方であれば、最初からエクセルでの入力を目指すのも良いでしょう。
さらに経理に慣れてくると、連携機能で経理データを1つ1つ確認して登録する作業が、かえって面倒に感じられるようになります。私も連携機能を使っていましたが、最終的にはすべてエクセルでの入力に切り替えました。
入力の効率化は、請求書などの収集や支払方法に応じた資料の整理がきちんとできていることが前提になります。入力を続けるうちに、自然と資料収集の流れも整ってくると思いますが、もし資料の管理がうまくいっていない場合は、まずは整理や保管のルールを決めると良いでしょう。
まとめ
経理を始めたばかりの方にとっては、会計ソフトの機能は便利なものもあります。しかし、経理に慣れてくると、次第に使いづらさを感じる場面も出てきます。会計ソフトだけに頼らず、自分に合った入力方法を持っておくことは、将来、会計ソフトを見直すときにも役立ちます。
エクセルで入力できるようになると、そのデータを使って請求書なども作成できるようになります。最初は仕組みを整えるのが大変ですが、自分に合った方法で処理できるようになることは大きなメリットです。
さまざまな入力方法を試しながら、ご自身にとって一番楽な方法を見つけるきっかけになれば嬉しいです。