
前々回、前回のブログで前払費用の入力と管理表の作成をどのように行っているかを見てきました。これで前払費用の残高を確認するための準備が整いました。
それでは、その管理表を使った残高の確認方法や修正があった場合の原因、その修正はどうするかをお話しします。今回で決算時の「前払費用」の数字が確定できるようになります。
管理表を使った確認方法
前払費用の取崩しを行うタイミングは年1回や毎月などさまざまですが、取崩しの経理データを入力したら、管理表と帳簿残高(貸借対照表の前払費用の残高)が一致していることを確認しましょう。
確認方法としては、管理表の残高と帳簿の残高を比較するだけなので簡単ですが、この金額が一致しないときに修正が必要になります。この修正に少し手間がかかります。
残高が不一致となる4つの原因
残高の不一致には次の原因が考えられます。
- 管理表の算式(エクセルの関数)が間違っている
- 支払った前払費用を管理表に入力していない
- 中途解約した前払費用なのに、取崩しの入力を続けている
- 前払費用の取崩し金額が間違っている(経理データ・管理表ともに)
管理表と経理データの入力が異なることが基本的な原因ですが、そこに固執するとエクセルの関数が上手く機能していないことを見失ってしまいます。そうなると何度確認しても原因が特定できず、管理できないことにもなりかねません。
そのため、最初に管理表(エクセル)の関数が正しいかどうかを確認することから始めます。
原因の詳細と修正方法
それぞれの原因の詳細と修正方法について確認していきます。
管理表の算式(エクセルの関数)が間違っている
これは管理表の集計が間違っている場合になります。たとえば、次のような場合があります。
- 集計する範囲が間違っている
- 途中から算式が変わっている
- 算式自体が間違っている
集計する範囲が間違っている
これは新しい前払費用を管理表に入力したときに行や列を挿入すると起きやすくなります。特にSUM関数を使っている場合には計算範囲が変わりやすいので注意が必要です。
大体は計算範囲が狭くなってしまっているので、計算の範囲外の前払費用が生じることが多いです。行や列を挿入した場合は注意しましょう。
途中から算式が変わっている
臨時的な処理をした前払費用(中途解約など)は管理表も特殊な入力をしないと取崩金額がうまく計算できない場合があります。そのときに一部だけ変更した関数が違う行や列にコピーされてしまっていると金額の不一致が生じます。算式が入っているセルに数字を直打ちした場合も同様です。
臨時対応した行や列は他の行にコピーしないように注意しておきましょう。
算式自体が間違っている
正しいと思って入力した算式が、特定の条件下では上手く計算できていないということがあります。特にIF関数を使用して条件分けをしていると起きやすいので、注意が必要です。
算式の入力後、想定したパターンの前払費用を管理表に入力してみて、正しく計算できているかを確認しましょう。
支払った前払費用を管理表に入力していない
新たに支払った前払費用を管理表に入力していないと、帳簿と管理表の残高が一致しません。この場合、残高を比べると帳簿の方が管理表よりも残高が多くなっています。
帳簿(仕訳帳や総勘定元帳)で左側に入力されている「前払費用」を確認し、一つ一つ管理表に入力されていることを確認します。
経理データの入力時に「前払費用」の勘定科目を使ったら、管理表に追加していきます。その処理を忘れてしまった場合に起きる不一致です。改めて「前払費用」を入力時に使ったら管理表を更新する癖をつけると良いでしょう。
中途解約した前払費用なのに、取崩しの入力を続けている
中途解約したときは、毎月の取崩しとは違うタイミングで経理データを入力します。そのため、毎月の取崩しの入力を行うときには、解約した前払費用の取崩しは行いません。ですが、それを忘れて取崩しの処理を行ってしまっていることがあります。
この場合は、帳簿の方が管理表よりも残高が少なくなります。比較したときの金額の大小によって、原因をある程度絞ることができます。
取崩しや中途解約など前払費用を減少させた場合、管理表の背景に色をつけるなど処理済みであることがわかるようにしています。その処理を忘れると重複して処理してしまうことになるので、管理表の更新を随時行っていきましょう。
前払費用の取崩し金額が間違っている(経理データ・管理表ともに)
上記までの3つが主な原因であることが多いですが、それでも解消しない場合は、毎月や決算での前払費用の取崩し時に経理データの金額を間違えて入力してしまっている可能性があります。
入力した金額の間違いである場合は、一つ一つ、経理データと管理表を照らし合わせて原因を探すことになるので、数が多いとそれだけ原因を特定するまで時間がかかります。
不一致が発生した原因を特定できたら、今度は経理データが正しいのか管理表が正しいのか判断していきます。
たとえば、経理データは修正したが管理表の修正を忘れていた、もしくはその逆、単純に入力した金額を打ち間違えたなど、なぜこの不一致が発生したかを確認し、管理表と経理データのどちらかを修正しましょう。
前払費用の取崩しは毎月ほぼ同じ金額になるため、前月の経理データをコピーして入力することが多いです。そうすると新たに支払った前払費用分の取崩しや決算月の端数調整が考慮されていない入力をしてしまうことがあります。取崩しの入力をした場合は、その入力金額と管理表の取崩し金額が一致することを確認しましょう。
まとめ
どんな人でも必ずミスはするものです。そのため、確認することが大切になります。いかに入力時の間違いを見つけられるか、間違いに気づくための入力とは何か、を考えると、入力や確認という行動一つ一つに税法や会計以外の意味を見出せます。管理表をうまく活用して正しい処理がされているか、今一度確認してみましょう。