
毎月給与の支払いがありますが、給与から社会保険料や住民税などを差し引いています。その差し引いた社会保険料や住民税はどうなっているのでしょうか?
今回は、そのしくみをお話しします。
給与から社会保険料や住民税などを差し引く理由
住民税や所得税といった税金は、個人で納付すると確定申告の数が膨大になり、処理しきれません。また、申告漏れや納付漏れがあった場合に回収コストがかかります。
そのため、会社が個人の給与からあらかじめ税金分を差し引き、代わりに会社が納付することで、個人ごとの納付と比べると、圧倒的に申告数は減少します。また、会社が従業員分の納付を行うため、もし納付漏れがあっても会社ごとに確認するだけで済みます。さらに、会社が個人の納付を管理することで、たとえ納付漏れがあったとしても、次回の給与から徴収できるため、回収コストは低く抑えられます。
このような理由から、会社が給与から税金分を差し引き、個人の代わりに納付を行っていると考えられます。
社会保険料は、税金とは少し違い、もともと会社と個人の両者が負担することになっているため、会社が会社分と個人分をまとめて納めています。法律上も会社が従業員分も合わせて納付することになっています。
給与額を決めているのは会社であり、給与額の変動によっては社会保険の手続きが必要になります。そのため、会社が給与から個人負担分も徴収した方が手続きや納付の面で効率が良いので、会社が従業員分も合わせて納付しています。
差し引かれた社会保険料や住民税などはどうなる?
会社では毎月の給与から社会保険料や住民税などを差し引いています。これらは最終的に会社が年金事務所や市区町村などに納めます。
基本的な経理の流れは次のとおりです。
- 従業員から社会保険料や住民税などを預かる
- 振込み、口座振替で納付する
- 経理データを入力する
- 預かった分の支払いができたかを確認する
従業員から社会保険料や住民税などを預かる
社会保険料は、4〜6月に支給した給与を基礎として毎月の保険料が計算されます。社会保険の内訳は健康保険、厚生年金、介護保険であり、決まった金額を毎月給与から預かります。
住民税は、前年1年分の所得から計算した金額を市区町村に納めます。計算自体は市区町村が行っているので、通知書の金額のとおりに従業員の給与から住民税を預かります。
所得税は、今年の所得税額を概算し、その金額を給与から預かります。概算額であるため、少し多く預かっていることが多いですが、年末調整や確定申告で過不足がある場合は還付や追納で金額を確定させます。概算額は会社で計算するため、税務署に預かった所得税額を納付しなければなりません。毎月、もしくは、半年ごとに所得税額を納付しますが、そのタイミングは会社ごとに違うので、自社がいつ所得税を納めているかを把握しておきましょう。
会社によっては、会社で加入している団体生命保険などがあり、その保険料を給与から差し引いていることもあります。そのため、自社が給与から差し引いているものには何があるかを確認しておくと良いでしょう。
まとめ
給与から預かって、個人の代わりに会社が納める制度として、社会保険、住民税、所得税を見てきました。
それぞれ事務手続きの効率化や回収できないリスクを減らすなどの理由から給与から差し引くことになったものと推測できます。
この後の経理処理にもつながりますので、どういったものを給与から差し引いているかを初めに把握しておきましょう。