会社の中でお金はどう動くのか?

 経理とは日々のお金の動きを管理する仕事です。

 どんなときにお金が動くのか、その場面を一つ一つ見ていくことで、自然と会社全体の経営の流れも見えてきます。お金の使い方から今後会社がどうなるかを想像することもできるようになることでしょう。そんな経理の流れについて、今日は大まかにイメージをつかんでいただければ嬉しく思います。

目次

経理の流れってどうなっているの?

 経理の流れについて、簡単にお話しします。

 まず、お金を集めて、集めたお金で仕入や設備などへの投資を行います。投資によって、商品やサービスの価値が高まり、それを販売することで利益を得ることができます。利益の中から、もし借入金があれば返済をして、返済後に残ったお金をまた新たな投資に投じていく。

このような流れが経理の基本的な考え方となります。

簡単にまとめると、経理の流れは次のようになります。

  1. 資金調達
  2. 投資(仕入、設備投資など)
  3. 在庫管理
  4. 営業活動
  5. 販売
  6. 売上の回収
  7. 利益の確認 ≒ 資金調達
  8. 再投資

 商品を仕入れた場合は、在庫としてその数や金額を管理する必要があります。また、販売を行うためには営業活動が必要です。営業にも人件費や広告費など、さまざまな経費が掛かります。

それぞれの要素の概要

1. 資金調達

 資金調達は、利益を出す、銀行から借り入れる、クラウドファンディング、株式会社であれば株式や社債を発行するなど様々な方法があります。中小企業では銀行から借り入れるか、利益を出し資金を残していくことが一般的です。

2. 投資

 投資(仕入れ、設備投資など)は、仕入れであれば売上に直結するため、それほど迷うことはないかと思いますが、設備投資は購入するべきかどうか悩む場面も多いと思います。

  • 設備投資により売上がどのくらい増加するか
  • コストがどれだけ削減できるか
  • 業務の効率化によって人件費がどのくらい削減できるか

などの効果が投資額を上回っていることがひとつの判断材料になります。

 ただし、これらの効果は予測に基づいて計算することになるため、本当に予測通りになるのか疑問に感じることが多く、決断が遅れることも少なくありません。

3. 在庫管理

 投資で商品などを仕入れた場合は在庫として保管します。在庫は、粉飾決算や内部不正が起きやすいところになります。中小企業では在庫管理に十分な時間やコストをかけられないことが多いので、管理体制を整えておくことが会社の信用に良い影響を与えます。

4. 営業活動

 営業では、交通費や接待交際費などの様々な経費が発生します。売上に直結する経費もありますが、その効果が見えにくいため、間接的な経費(販売費および一般管理費)として扱われます。金額だけでなく、数量や回数、人数など、金額以外の非財務情報による分析も効果的です。

5. 販売

 これまでの努力が形になる瞬間が販売になります。販売により商品の在庫数量が減少するので、ここでも在庫管理を行います。販売価格を決定するための原価計算や得意先の倒産リスクに備える与信管理なども併せて行っていきます。

6. 売上の回収

 販売したら終わりではなく、回収して初めてお金が増えます。お金は会社の血液であり、お金は中小企業にとっての生命線です。資金繰りを管理するため、売上の締日から入金されるまでの期間(回収サイト)についても検討していきます。回収できない場合はどうするかということも、会社の方針として決めておきましょう。

7. 利益の確認

 最後に売上から経費を差し引いて利益を確認します。利益が出ていれば良いのですが、赤字となっていることもあるので、早めに察知するためにも日々の経理が重要になります。例えば、商品ごとの利益が確認できるようにすることで、力を入れる商品は何かなど、分析することもできます。時間やお金には限りがありますので、より効果的な方法を見つけるためにも、様々な利益計算を試しながら、必要な情報を取得する仕組みを整えていくとよいでしょう。

 この利益から次は何に投資を行うかを考え、次のサイクルへとつなげていきます。

流れを知ることで見えてくるもの

 お金の流れを上記の各要素(資金調達、投資、販売など)に分けて考えることで、それぞれの場面で適正にお金が使われているかを確認しやすくなります。

ただし、各要素を細かく見すぎてしまうと、全体のバランスが崩れていることに気づかないこともあります。まずは全体を見ながら、どの部分の流れが悪くなっているかと仮説を立て、1つ1つの要素を丁寧に見ていくことで会社の健康状態を理解することにつながります。

 今は問題がなくとも、将来的に支障がでるかもしれません。与信管理がその一例で、現在は滞りなく入金がされていますが、経営状態の悪化により支払いが遅れるリスクを抱えているかもしれません。帳簿に表れない情報は把握していないことも多く、様々な兆候に気づくのが遅れることもあります。お金を確認する際に帳簿に表れない箇所も定期的に確認する習慣をつけておくとよいでしょう。

まとめ

 経理の流れを知ることで、会社全体のお金の動きが見えやすくなります。会社の課題点や改善による効果などが分かるようになることでしょう。まずは自社の現状を把握するためにも、日々の経理データの入力が最初の一歩となります。経理データの入力を通して、経営の三要素の一つである「お金」についての理解を深めるきっかけになるはずです。

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