
入金の大部分は売上に関するものです。現金商売であれば売掛金が生じることは少ないですが、企業相手の商売であれば売掛金は日常的に生じることでしょう。
今回は売上があがったときの経理について、売掛金からの視点でお話しします。
売掛金に関する経理
売掛金が生じたときから回収されるまでの流れを見ていきます。次の流れは、売掛金が振り込まれた場合であり、販売管理システムを使用していないことを想定しています。
- 売上の入力
- 請求書の発行
- 入金の経理データを入力
- 得意先ごとの残高を確認
- 適格返還請求書などの発行
- 未回収、入金額と請求額に差額がある場合の問い合わせ
このほか、売掛金を現金で回収する場合は回収予定額を確認します。小切手や手形を回収した場合は、銀行に持ち込み、入金するための手続きが必要です。
売上の入力
販売管理システムがないので、帳簿の中で売掛金を管理します。そのため、回収する売掛金を把握できるように、まずは売上の経理データを漏れなく入力しましょう。
日付:売上日
売掛金 / 売上
摘要:〇〇株式会社 記帳代行 〇〇行
※売掛金を取引先ごとに管理(得意先コードや補助科目など)
経理データでいうと上記のようになります。今回は売掛金にスポットをあてて各項目を説明します。
日付
売上と同じ日付です。下記のブログを参考にしてみてください。
勘定科目
今回は売掛金が発生することを想定しているので、左側は「売掛金」と入力します。
売上の入金があるまでは「売掛金」という勘定科目を使用します。これは、後日入金がいくらあるかを示している科目です。
摘要
得意先、販売した商品やサービス内容を記載します。請求書と照らし合わせるため、請求書番号を記載しておくのも良いでしょう。
得意先の管理
このあと、売掛金を帳簿上で管理していくので、得意先ごとに売掛金を分ける必要があります。
会計ソフトによりますが、得意先コードや補助科目を使用すると得意先ごとの売掛金を管理できるようになります。
継続した売上がなく、一時的な売上が多いときは、得意先ごとに管理するのは適さない場合があります。その際は「請求書番号を摘要に入力し、得意先には振込み時に名義の頭に請求書番号を記載してもらう」など、管理しやすい方法を検討しましょう。
請求書の発行
売上を締めたときに請求書を発行します。この請求書から売上の経理データを入力することもあります。請求書の発行方法の違いで、売上の入力と請求書の発行が前後します。
請求書発行の際の売掛金に関連する注意点は、支払期日を記載することです。
支払期日のない請求書を見かけますが、売買契約を結んでいない場合は、極端な話、支払いが半年後となっていても問題はありません。ですが、入金が遅れるほど資金繰りも厳しくなります。また、支払期日がないので、未入金となっていても、それが正常なのか異常なのかの判断ができません。そうならないためにも、支払期日を記載するようにしましょう。
請求書に支払期日を記載するときは、売買契約書の支払条件に合わせた期日を記載します。契約を結んでいない場合は、自社が適正と感じる支払期日を記載します。
発行した請求書をもとに売上を入力しているのであれば、請求書の控えを経理に回し忘れないように注意しましょう。売上の入力が漏れていると入金時にそれが何のお金なのか判断できません。もしそうなった場合に、得意先に確認の連絡をしてしまうと、売上を管理できない会社に見られ、不信感を与えることがありますので注意しましょう。
まとめ
売掛金に関する経理の流れを簡単に見てきました。
もし、売上の経理データが入力されていなければ、帳簿上で内容を把握することはできません。もし、請求書を送付し忘れていれば、入金されることはありません。もし、売上の入力と請求書の送付の両方を忘れてしまえば、売掛金自体は合いますが、通常よりも原価が高くなります。
このように何かしらの不具合が生じますので、経理業務の漏れがないように売上があがったときの流れを把握しておきましょう。
この後で回収すべき金額が入金されているかを確認しますが、チェックしやすくするために、売上の入力を行うときからデータを整えておきましょう。
次回は、入金されたときの経理処理についてお話しします。