売掛金が正しく回収できているかをチェックしよう

 売掛金の入金があったとき、回収すべき金額を確認していますか?特に締日から入金日までの期間が長い得意先はいつの分の入金か分かりづらく、差額があってもすぐに見つけられないことがあります。

 今回は売掛金の入金があったときの経理データやその確認方法についてお話しします。

目次

経理の流れ

 前回確認した経理の流れは次のとおりです。

  • 売上の入力
  • 請求書の発行
  • 入金の経理データを入力
  • 得意先ごとに残高を確認
  • 適格返還請求書などの発行
  • 未回収、入金額と請求額に差額がある場合の問い合わせ

 今回は入金額の確認以降について触れていきます。

入金の経理データを入力

 入金があったら、まずは経理データを入力します。

入金時の経理データ

日付:入金日

勘定科目:預金 / 売掛金

摘要:〇〇株式会社

※売掛金を取引先ごとに管理(得意先コードや補助科目など)

勘定科目

 入金の相手先の口座名義から勘定科目を予想して入力します。得意先名義の入金であれば「売掛金」、保険会社からの入金であれば「未収金」と予測します。

 今回は売上に対する入金ということで、勘定科目は「売掛金」となります。

摘要

 売掛金の摘要は、どこからの入金かが分かれば十分です。

 むしろ、何に対する入金かといった内容は記載しない方が良いでしょう。たとえば、7月の売上の一部と8月の売上が入金されているなど、必ず売掛金と入金が1対1で対応するものではありません。経理データの入力時に毎回確認するのはかなりの手間がかかるので、入金の内容についてはあとで確認するようにします。

 一度でも何に対する入金かを記載してしまうとその形に揃えたくなってしまいます。さらに、一度揃えてしまった摘要は、書き方を変えにくくなるので注意しましょう。

取引先ごとに管理

 売上を入力したときと同じく、入金があったときも、どこの売掛金が入金されたものかわかるように得意先コードや補助科目を使用して入力します。

 これがこの後の売掛金の残高を確認するときに必要になります。そのため、間違った得意先コードや補助科目にならないように注意して入力しましょう。

得意先ごとに残高を確認

 売上とその入金の経理データを入力したので、帳簿を見ながら売掛金の残高を確認していきます。会計ソフトに得意先コードや補助科目を設定しておくことで、コードや補助科目ごとの残高が表示できます。

 たとえば、月末締め分が3ヶ月後の月末に入金される予定の得意先があったとします。その場合、8月末時点では、理論上、以下の売上が入金されていないことになります。

  • 6月締め分 9月30日入金予定
  • 7月締め分 10月31日入金予定
  • 8月締め分 11月30日入金予定

 このように3ヶ月分の売掛金が残高として残っていると予想できます。その金額と8月末時点の残高を比較し、一致していれば問題ないと判断します。

 もし金額の不一致があれば、その原因を特定します。得意先が振り込んだ金額自体が間違っている可能性もありますが、一旦は自社内で解決できる内容かどうかを確認します。

 不一致の原因や対応については、長くなりますので次回、より具体的にお話しします。

適格返還請求書などの発行

 消費税のインボイス制度が始まってから消費税を細かく記載しなければならなくなりました。そのため、値引きやリベートがあった場合も、その消費税を記載したインボイス(請求書や納品書、明細など消費税を記載した資料のこと。)を別途発行しなければなりません。

 1万円未満であれば発行する必要はないなどという条件や注意点は多々ありますが、原則はインボイスを自社か得意先が発行しなければ、「消費税を支払った」ことにはできないという制度です。

 自社が請求書以外に発行しなければならないものは何かを把握しておくようにしましょう。

未回収、入金額と請求額に差額がある場合の問い合わせ

 原因を調査した結果、自社内で解決できなかった場合は、得意先に問い合わせる必要が出てきます。

 ただ、経理とは別に営業担当者がいる場合は、営業担当者で情報が止まっていることがあります。得意先に確認する前に社内で情報共有できているかを確認しておきましょう。伝えた情報が伝わっていないと得意先にも迷惑をかけますし、少しずつ信用を失っていきます。

 営業担当者がいるのであれば、営業担当者から得意先に問い合わせるのが良いでしょう。得意先が資金難となり、振込みが遅れていることも考えられます。その場合は速やかに販売を中止、もしくは販売する規模を縮小しなければ大きな損失(貸し倒れ)を起こしかねません。営業担当者であれば、その兆候を察知した時点で早急に手を打つことができます。

 貸し倒れとなった場合の責任の所在も営業担当者になることがほとんどでしょう。ただ、営業担当者だけでは入金の状況などを把握できないため、経理からも適切な情報を提供しておく必要があります。少なくとも入金が滞った得意先については、営業担当者に伝えておきましょう。

まとめ

 売上があり利益は出ているのに、お金が足りないという状況になっていても、売掛金を管理していなければ、未回収があることに気づくこともできません。

 また、振り込まれていない理由の一つとして、得意先にお金がなく倒産しかけているという可能性も考えられます。

 そういったリスクを回避するためにも、リアルタイムで売掛金の把握ができている状態にしておきましょう。

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